史跡(神社、仏閣、遺跡、墓所)

中村彝の墓(祇園寺)

【場所】八幡町2-69
【電話】029-221-5229

 近代美術史を代表する洋画家として有名な中村彝の墓は、祇園寺にあります。明治20年(1887)7月3日、水戸に生まれ、幼少年期に父母を失い、陸軍幼年学校に入学しますが、肺結核にかかり軍人志望を断念して中退。千葉県の北条湊に転地療養に行き、ここで初めて絵筆を執ったといいます。その後、画家を志し、白馬会洋画研究所に入って洋画の勉強を始め、黒田清輝の指導を受け、また病を治そうとキリスト教の洗礼を受けています。フランス帰りの彫刻家荻原守衛のアトリエを訪ね、ロダンの偉大さを知ったのはその頃です。第三回文展に「巌」などが入選して以後、受賞を重ね、洋画家としての名声は高まりました。はじめ、新宿中村屋のアトリエを借りて制作に励み、その後、水戸出身の高橋義雄(箒庵(そうあん))の援助を受けてアトリエを新築し、photo病に苦しみながらも絵画の制作に打ち込み、裸婦の大作や「田中館(たなかだて)博士の像」「エロシェンコ氏の肖像」「老母の像」など生涯の傑作を生み出しました。代表作である「エロシェンコ氏の肖像」は、国指定文化財として東京国立近代美術館に所蔵されています。大正13年(1924)12月24日、下落合の画室で病死。享年37歳。